歯医者での型取りが変わる！スキャナーを使った歯科治療の利点とは
歯科治療における革新的な技術の1つに、光学スキャナーによる「光学印象」があります。
従来の型取り方法から進化したこの手法は、口腔内の歯や粘膜を高精度でスキャンし、3Dのデジタルデータとして出力することが可能です。
この光学スキャナーを使用した歯型取りは、正確な診断や効果的な治療計画を可能にすると同時に、患者様の快適性を向上させる可能性を秘めています。
本記事では、光学スキャナーの特徴や利点、さらには歯科医療におけるその応用範囲について、詳しくご説明いたします。
光学スキャナーとは？
歯科治療に使用される光学スキャナーは、口腔内の情報をキャプチャし、歯型を取るための機器です。
従来の歯型取りでは、アルジネートやシリコンという粘土のような材料を使用していましたが、光学スキャナーを用いた歯型取りでは、スキャナーで歯をなぞるようにスキャンするだけで、歯や粘膜のデータを採取できます。
この光学スキャナーによる歯型取りは、精度の高さや不快感の少なさなどから、従来の歯型取りに代わるものとして近年注目されています。
どんな治療に使われる？
歯科治療に使用される光学スキャナーは、さまざまな治療に活用されています。
補綴治療
修復物の作製が必要な補綴治療をする際、歯や歯ぐきのデータをスキャンし、インレーやクラウン、入れ歯、ブリッジ、インプラントの上部構造などを、スキャンデータをもとにして作製することがあります。
インプラント治療
インプラント治療では、術前にCTや光学スキャナーで採取したデータをもとに、3Dのモデルを作成し、より安全性の高い診断と治療を行うケースが多くあります。光学スキャナーは、スキャンした口腔内のデータを3Dで表示し、PCに取り込めるため、インプラント治療において重要な術前の診断、専用ソフトによるシミュレーション、サージカルガイド（インプラントを正確に埋め込むためのガイド）の作製などにも役立つのです。
歯列矯正治療
歯列矯正治療では、光学スキャナーで歯並びやかみ合わせをスキャンすることで、診断や治療計画の立案に役立つことがあります。また、スキャンしたデータから3Dモデルを作成し、治療前と治療後のシミュレーションを確認したり、スキャンした歯型から歯に装着する矯正装置を作製したりすることも可能です。
以上のように、主に特定の治療において使用されている光学スキャナーですが、口腔内のモニタリングのため、一般的な歯科治療でも使用されることがあります。
光学スキャナーのスキャンでは、従来の歯型取りよりも精密なデジタルデータが得られるため、より正確な診断と効果的な治療計画が可能になると言えるでしょう。
スキャナーを使用するメリット・デメリット
メリット
- 不快感の軽減
光学スキャナーは、従来の歯型取りで使用していた粘土のような材料を使わないため、歯型を取る時の不快感や違和感を軽減できるのが大きな特徴です。
特に、嘔吐反射が強い方などは、光学スキャンにより症状を軽減できるケースが多いことから、治療でのストレスが抑えられ、快適性が向上します。
- 治療精度の向上
従来の歯型取りで起こるもっとも重大な問題が、歯型の変形です。歯型取りに使用されるアルジネートは、主成分に水分が含まれているため、時間経過で膨張したり、収縮したりしてしまいます。このような変形が起こってしまうと、特に被せ物などの補綴物を作製する場合、いざ装着するとなった際に十分な適合が得られません。
光学スキャナーによって取得されたスキャンデータは、このような変形の心配がないため、正確な補綴治療や診断が可能になり、より効果的な治療を提供できます。
- 治療期間の短縮
通常の歯型取りの場合、歯型に石膏を流し込み、そこから石膏模型を技工所へ送って被せ物や矯正装置などを発注します。
一方、光学スキャナーによる歯型取りは、データをPCに取り込んでそのまま技工物を発注できるため、通常の歯形取りで行う一連のプロセスが必要ありません。よって、装置の発注から到着、セットまでを迅速に行うことができ、治療期間の短縮が期待できます。
デメリット
- 一部適応外の可能性がある
植込み型除細動器、またはペースメーカーがある方の場合、ほとんどは適度な距離から使用することで通常通り使用できますが、患者様の状況や担当医の判断によっては、光学スキャナーを使用できない可能性があります。
当院のスキャナー（Medit i-700）について
当院ではより快適で安全性の高い治療のため、口腔内専用光学スキャナー「Medit i-700」を導入しております。
Medit i-700は、口腔内を撮影するスキャンチップが小型で、スキャン時患者様の不快感を軽減できる点が特徴です。
さらに2つの高速カメラが搭載されていることから、従来の同モデルより約2倍のスキャン速度でスピーディーに歯型を取ることができます。
また、内部に内蔵されているUV-C LEDが殺菌処理を行うため、常に清潔な状態で口腔内をスキャンできる点も、Medit i-700の利点です。
当院ではこの清潔、かつ精密性の高い光学スキャナー、Medit i-700を使用し、歯科治療の質を高めながら、患者様への負担を軽減できるよう取り組んでおります。
まとめ
Medit i-700などの光学スキャナーは、治療をより快適で効果的なものに変える、デジタルシステムの特徴を活かした医療機器です。従来の歯型取りに比べ、治療における正確な診断と治療プランを提供しやすいだけでなく、型取り時の不快感や違和感を最小限に抑え、迅速なデータ取得により治療時間の短縮も期待できます。
光学スキャナーを併用した歯科治療にご興味のある方、もっと詳しく知りたいという方は、1度当院にご来院ください。
